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ファミリー 

一体となるために -妻の役割 -  前島常郎    [マガジン PDFで読む]
 
  男性と女性のちがいを表す、おもしろい表現があります。

 ・女性は、夫が変わることを期待して結婚するが、彼は変わらない。
  ・男性は、妻が変わらないことを期待して結婚するが、彼女は変わる。
  ・女性は、夫を得るまでは将来について悩む。男性は、妻を得て初めて将来について悩む。
  ・結婚した男性は、独身男性よりは長生きする。しかし、既婚男性の方が、早く死にたくなる。
 
冗談めかしていますが、半分は真理です。男も女も、言わば人生を片目でしか見ていません。でも結婚すると、立体的に見られるようになります。ただし、相手から学ぶ気があるならです。そうして初めて、一体として子育てにまた人生に向かえます。聖書に、こうあります。
「それゆえ、人は父と母を離れ、その妻と結ばれ、二人は一体となる」エペソ5章31節

 ◆男は、女とはちがいます
男女の差は、生殖能力に限りません。遺伝子レベルからちがっています。家庭生活に関して言えば、具体的に、どうちがうでしょうか?

 ◆一般的に、男はおしゃべりではありません
   自分のことを話すのが苦手、人の話しを聞くことはもっと苦手、奥さんの話しを聞くことは一番苦手でしょう。男が家庭で一番求めるのは、静けさだといいます。創造されたばかりのアダムは、ことばを交わす人間もなく、黙々と畑を耕しました。動物たちは人に従順だったのでしょうが、しゃべりませんでした。(蛇だけは別です)
  子ども時代も、女子のほうが、よく話します。女性は、一日に5万語を話すとすれば、男は2万5千語しかしゃべらない。外で、お客さん相手にを話し疲れて帰宅したら、奥さんと話すどころか、顔を見る気力もなくなります。
  気の置けない友達となら、仕事の話しやスポーツの話題で盛り上がるが、今日の気分はどうかとか、仕事はどうだったとか、自分の結婚や家庭はどうかと聞かれると、とたんに言葉に詰まるのが男です。
  「新聞は読めても、心が読めない男たち」(サンドラ・オルドリッチ)という本があります。
  新婚時代に、夕飯を食べながらナイターを見ていたら、家内から「食事中はテレビを見ないで!」と言われました。それで、新聞を手に取ると、「新聞もやめてくれない?」と来ました。「じゃあ、何を見ながら飯を食えばいいんだよ?」と聞いたら、「あなたは、私の顔を見ながらご飯を食べればいいの!」ということでした。それ以来、奥さんの心を読む努力をしています。それから、

 ◆男の自尊心はもろい
   つまり、自信に欠けます。男の自尊心は、仕事に結びついています。アダムは、妻を得て家庭を持つ前から、エデンの園を耕す仕事を神から与えられました。だから、健康な男なら仕事に励むし、仕事とセルフイメージは直結します。それに比べて、女性は、仕事より家庭、そして、ご主人からどう扱われるかで自尊心が上下するようです。
仕事の技能を身につけ、周囲の信頼を得るには、一年二年ではむりです。自分の力量にあった職場かどうかも、簡単に結論は出ません。でも、仕事があればまだまし。長い不況で、失職も珍しくありません。
ある男性は、重い病気を得て余命わずかと医者から宣告されましたが、「それより苦しかったのは、失業だった」と言いました。男にとって、仕事でつまづく事は、誇張なしに死ぬより辛い事もあります。ただし、外で失敗しても家で慰めがあると、「明日こそ!」という気力が湧きますが、家の中でもけなされたら悲惨です。
  ケネディー大統領暗殺犯とされるリー・オズワルドは、犯行の前日、他人の前で妻から個人的落ち度を非難され、性的不能さえばらされる屈辱を味わったそうです。妻から家を追い出され、よりを戻してくれるように頼んだのに拒まれました。「自由に使ってくれ」といくらかお金を渡しましたが、かえって笑われました。だから大統領を殺してもいいとは言いませんが、男にとって妻から落ち度を責められる以上の苦しみは、なかなか想像できません。妻に尊敬されることは、夫の生命線です。もうひとつ、

 ◆性に対する感覚がちがいます
女性は、ことばを交わしたこともない男性に性欲を覚えることはないようです。夫とだって、愛を感じられる会話がなければ肌をふれあいたいとは思いませんが、男性は人格より外見に影響されます。
「だれでも情欲を抱いて女を見る者は、すでに心の中で姦淫を犯したのです」(マタイ5章28節)とは、男への警告です。道路工事に汗を流していた人夫が、手を休めたすきに、派手に化粧をし露出の多い服を来た女性が通り過ぎるだけで、目を奪われます。特に夏、クリスチャン男性は、見たくもない女性の体型を電車の中で見せられ、この警告を思い起こして苦しみます。
  女性が、一体感を感じるだけの会話がないと夫と性生活をする気になれないのと比べ、男性は、性の交わりがないと妻との一体感を感じられません。女性は、家事や育児に忙しいと性生活への意欲がそがれますが、多忙でも性欲は変わらないという男性は少なくありません。性生活を断られると、単なる生理的不満を抱くだけではなく、妻から全人格を拒まれたように自信を失います。妻が、口をきかない夫にさびしさを感じるのと似ています。

 これだけ女性とちがう男性と、どうしたら一体になれるでしょう? 男の助け手として何ができるでしょうか? まずは、会話です。

 ●男の口を開く
  「男性はおしゃべりではない」と書きましたが、「うちはちがう」という方もいるでしょう。それは、奥さんの聞き方が上手なのかもしれません。
  「あなた、ちょっとここに座って!」と説教するような口調は考えものです。いくら姉さん女房でも、夫は「今ちょっと忙しい」とかなんとか、逃げたくなります。母親は、一人いれば十分! 会話にだって準備運動がいります。
  パウロは、「女は静かにして、よく従う心をもって教えを受けなさい」(第一テモテ2章11、12)と教えましたが、これを夫婦の会話に適用するなら、夫の興味あること、しゃべり易いことを探り出し、「ねえ、ちょっと教えてくれる?」と、関心を持って聞き出すのです。男も、「それなら」という気持ちになります。それが会話の呼び水になります。
  結婚生活の面白さの一つは、独身の時に関心のなかったことに対して、結婚相手の興味に付き合っているうちに、自分が真剣になることです。
  主人は私と話したがらないと嘆く方がいたら、どんな話題なら話したがるか考えて下さい。妻に聞く気があれば、無口の男でも口を開くものです。ある程度聞いたら、「今度は私の話しを聞いてくれる?」と水を向けます。
  主人のご機嫌のいい時を見計らい、「ねえ五分だけいい?」と持って行く方法もあります。五分話して、「ありがとね」と話しを止めたら、ご主人は「え、なんだ、もう終わり?」と言い出すかもしれませんよ。

 ●小言を飲み込む
  ある男性が、妻の反対を押し切って商売を始めましたが、ほどなく行き詰まり、虎の子の貯金を使い果たしました。誰をも責められない。自分に才覚がなかったのです。反対した妻にも合わせる顔がありません。少なくとも嫌みの一つも言われることを覚悟して帰宅しましたが、その晩、妻は夫の側に座って、こう言いました。
  「ねえ、わたし、計算してみたのよ。あなたは、お酒も煙草もやらない。もし、あなたが両方やっていたら、今回なくしたお金は、とっくに失っていたはずよ。そう考えれば、今度のことは差し引きゼロ。忘れましょう」
  彼が発奮したのも不思議はありません。「私があれだけ言ったでしょう!」と言われたら、家庭は壊れていたかもしれません。奥さんは、夫を支え励ます助け手としての役目を分かっていました。彼は、失意から見事に立ち直り、多くの人に慕われる社会人になりました。
  「豚も、おだてりゃ木に登る」とか。とって付けたようなお世辞は逆効果でしょうが、「小言を言い続ける」パターンを変え、夫の応援団長をしたら、見違えるような男性に生まれ変わるかもしれません。
  「争い好きで、うるさい女といるよりは、荒野に住むほうがましだ」(同21章19節)
  「妻もまた自分の夫を敬いなさい」(エペソ5章33節)

 ●夫の権利を奪わない
  一般的に、男性は女性より規則的に性の交わりを求めます。ところが家事は、疲れる仕事です。育児も一日仕事。奥さんにも、応えきれないもっともな理由があります。しかし、旦那さんは、結婚したら自由にセックスできると思い込んで結婚しました。奥さんが、疲れた、眠い、頭痛がするとか、色々な理由で拒むと、男性はそれだけ誘惑に弱くなります。外ですれ違うだけの女性が魅力的に見えて来ます。
  「互いの権利を奪い取ってはいけません。、、、あなたがたが自制力を欠くとき、サタンの誘惑にかからないためです」(第一コリント7章5節)
  性生活の不満があってはいけないとは思いません。初めからうまく行く訳がない。互いに忍耐が肝心、調整・努力が必要です。でも、性について話し合うことは簡単ではありません。
  一日に何回食事をするか?これは話し合う必要がありません。一週間に何回セックスするか?これに正解はありません。二人が満足するならいいのです。要は、話し合いです。「夫に服従しなさい」とは、何でも夫の言いなりになって、意見を言ってはいけないという意味ではありません。
「夫も自分の妻を自分のからだのように愛さなければなりません、自分の妻を愛する者は自分を愛しているのです。だれも自分のからだを憎んだ者はいません。かえってこれを養い育てます、それはキリストが教会をそうされたのと同じです」(エペソ5章28?29節)
  妻をどう愛したらいいかは、妻だけが夫に教えられます。医学書も、人の話しも役立ちます。でも、何より夫婦が安心して話し合うことです。
  「妻も自分の夫に対して義務を果たしなさい」(第一コリント7章2節)と言われますが、「義務的にしなさい」ということではありません。自分も楽しまないと夫も満足しません。
ある奥さんが、性生活が重荷だと先輩に打ち明けました。色々な相談を受けている先輩は、言ったそうです。「あんたね、結婚したからには、そりゃ仕事だよ」

 ●早めの予防を
  最近、屋根屋さんが来て、「お宅の瓦がずいぶんいたんでいます。去年の大雪のせいでしょう」と見積もりを出してくれました。家の維持にはお金がかかりますが、壊してゼロから新築するよりは安上がりです。長もちさせたいものです。

 本を買い、セミナーに出、カウンセリングを受けるには時間もお金もかかりますが、家の修理と同じく、夫婦関係の修理調整は必要です。お金をかける意義があります。ひいては、子孫のためです。夫婦問題は、何よりも早めの予防です。長い目で見て、それが安上がりです。 

「妻たちよ。あなたがたは、主に従うように、自分の夫に従いなさい。なぜなら、キリストは教会のかしらであって、ご自身がそのからだの救い主であられるように、夫は妻のかしらであるからです」エペソ5章22、23節


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